読書#1 吉田松陰とその家族 中公新書

どうしたら日本は良くなるんだろうなーと時々考えます。

結局どんな問題も解決するのは人間ですから日本をよくするには教育が一番重要だと考えました。そこで日本の教育の有名人の逸話が読みたいと思い本書を読み始めました。

結論から言うとこの本には教育者としての吉田松陰についてはそこまで多くは語られていませんでした。タイトルにある通り本人や家族の生涯とその後の影響についての本でした。

教育者としての松陰の逸話として印象に残ったのは高杉の話でした。誰かが高杉は頑固すぎるから諌めてくれと松陰にお願いするのですが、松陰は高杉の頑固さを妥協を許さない姿勢と長所と考えたため直さなかったそうです。周りの人へ多少迷惑が掛かる気質でもやたら直そうとせず、場合によってはそれが長所となるから伸ばすべきと考えるのはなかなか現代の教育にはないような気がします。また松陰は高杉が頑固で相手のいうことを聞かないにしても完全に無視するわけではなくちゃんと考慮しているところまで見ていました。すごいですね。

以下は教育の話ではないですが、興味深かった点を書きます。

まず松陰のやる気について。松陰といえば狂ったように前に進むイメージでしたがその原動力の一部がうっすら見えた気がしました。松陰は家族ととても仲が良く、松陰の父百合の介は尊王思想が強い読書家でした。そして養子に出された先は藩お抱えの兵法家の家庭。そこにきて黒船来航を直接目で見ているのでもうバッチバチにやる気がありました。こう見るとけっこう才能を生かしやすい環境にいたのではないかなと思いました。

次に長州藩という環境について。長州は関ケ原で負けた毛利家が追いやられた土地だったこともあり最初から貧乏でした。しかしその背景があるおかげでみんなで知恵を絞って産業を興し立て直してきており、人材育成に力を入れる藩になっていました。そのおかげもあってかやたら若者の失敗に寛容な気がしました笑。黒船が来た頃は藩主毛利敬親も30代と若かったことも関係あるかもしれません。また幕府や下っ端の役人なども意外と優しかった印象があります。外国船に乗ろうとした松陰は死刑を覚悟していたのに幕府はこのご時世だしそういう思想をもってもしょうがないとして家で謹慎するように言ったそうです。やさしい笑。一緒に行った金子は町人出だったため獄の環境が極めて悪く病死してしまいましたが。長州の下っ端役人なども獄で勉強する松陰のために禁止されていた夜の消灯を許したり、松陰が江戸の獄に移送される前に独断で松陰を1日家に帰してやったりと、現代のとにかく上司に怒られないように立ち回る下っ端とは雰囲気が違う気がしました。江戸時代の粋な雰囲気なのかもしれません。

国防の考え方について。松陰は国防の第一は仁政だと言っています。良い政治すればそこに住む人たちは国を愛し守りたいと思うからだとのことです。確かにその通りだと思いました。

 

 

松陰といえば狂という一文字ですが、この本を読んで一人でがむしゃらに飛び込んでいくというよりはみんなとよく話して勇気をもらった上で飛び込んでいる印象でした。

この本を読むと教育者というよりも時代の流れの中でもがき切った青年という印象です。

本自体はとても読みやすい本でした。萩博物館の学芸員の方が書かれていてありのままの松陰像が書かれている印象でした。

久坂が松陰の妹の文を妻にもらう話で、かわいくないからという理由で一度断ったという話がなんか草でした。かわいいお嫁さんもらってれば久坂も頑張ったかもしれないのに笑。禁門の変自体は久坂はやりたくなかったようですが。

松陰といえば読書。どのくらい読んでいたかというと50日で80冊の本を読んだそうです。1年2か月で618冊のときもあったそうです。凄まじい、、。私もそのくらいの勢いで読書をしたいと思います。

読書は知識を増やすために読むものという印象がありますが別な効果がある気がします。活字を目で追っているとふと疲れているわけでもないのに別のことをしたくなる瞬間があります。この瞬間読み進めることができれば理性が感情に勝っているような感覚があります笑。読書は良いメンタルトレーニングになっているのではないでしょうか笑。いつか松陰のような立派な人になれるように読書に励みたいと思います。

ではまた

 

今後読みたいキーワード

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